2014年10月12日

只今100回本『水滸伝』読書中

偶然立ち寄った全国チェーンの古本屋に岩波文庫 吉川幸次郎・清水茂両氏による翻訳の100回本『完訳 水滸伝』全10巻と、岩波文庫 小野忍・千田久一両氏による翻訳の『金瓶梅』(1巻、3~10巻)が置いてあった。全部あわせると7000円近く。つい、買ってしまった。『金瓶梅』は2巻が欠落していたので密林で買ってしまった。2巻だけ版が新しいので、他と表紙のデザインが違うのはどうしたものか…

で、今100回本を読んでいる。
完訳と銘打っているだけあって、回ごとの冒頭の詩なども省略せずに載っているのはうれしい。駒田信二氏訳120回本にはなかった。詩も大変読みやすい。
けれど、固有の官職名などを日本のそれにわざわざなおしてあるのはいただけない。奉行所とか所司代とか、そんな言葉が出るたびに水滸伝の世界から引き戻されてしまう。魯達(魯智深の出家前の名前)は提轄であって隊長ではないし、林冲は林師範でなく林教頭なのに。
わかりやすさを大事にした、というのは解説にも書いてあり、それを否定するつもりは毛頭ないが、固有の職名や文化にかかわるものは極力そのままのほうがよかったのではと思う。その分は註釈で何とでもできる。水滸伝で一番一般的でよく出てくる武器は朴刀だが、長刀(なぎなた)と訳されては、一番一般的な武器の理解すらすすまない。(なお朴刀に関しては註釈で、絵入りで解説されていた)註釈が少ないのも、少々物足りない。駒田氏の註釈にないもので、吉川・清水両氏の註釈で補足できるものがあればもっとよかったかな、と思う。
ともあれ、やはり水滸伝は面白い。今のところ120回本と大きな違いはないが、どんどん回がすすむ。
今は青面獣楊志が梁中書のところで急先鋒索超と試合をしたところだ。これから、黄泥岡の事件が始まろうとしている。挿翅虎雷横が赤髪鬼劉唐を捕らえたところで第13回が終わった。托塔天王晁蓋や智多星呉用たちが梁山泊に上って豹子頭林冲とクーデターを起こすエピソード(第19回 林冲水塞大併火 晁蓋梁山小奪泊)や、花和尚魯智深と青面獣楊志の二竜山入りエピソード(第17回 花和尚単打二竜山 青面獣双奪宝珠寺)や、物語としては始めての官軍との戦いのエピソード(第20回 梁山泊義士尊晁蓋 鄆城県月夜走劉唐)などが楽しみである。このあたりのエピソードでは一般的に黄泥岡の事件(第16回 楊志押送金銀担 呉用智取生辰綱)が知名度・人気ともにうえだと思うのだが、オレは17・19・20回のエピソードのほうが好きだったりする…



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